最近の会計事務所の経営環境(1)
2017年8月13日
1 顧客(中小企業)市場の現状
(1)依然と多い繰越利益欠損企業
国税庁の「平成27年度分会社標本調査」によれば徐々に利益計上法人は増加しつつあるが、それ
でも2,630,436社のうち、欠損企業が1,690,859社もある。
実に64.3%の法人が欠損法人という状況である。
アベノミクス効果は数値上は表れていると言われるが、それは微々たるものであり、バブル崩壊
以前の状況にはほど遠い。
(2)世代交代ができない中小・小規模企業
2015年時点の中小・小規模企業経営者の中心年齢(最も多い年齢層)は66歳となり、この
20年間で19歳も上がったという。
単純計算では、このままでは2020年には80歳前後となり、2030年になると中小・小規模
企業は消滅しかねない状況だ。
(3)人件費の高騰化
現在、中小企業では人材が採用できない「人材確保困難時代」から、人の雇用を維持することが
困難な「人員確保困難時代」に 突入していると云われている。
その背景にあるのが、社会保険料の高騰と最低賃金の上昇、さらには働き方改革だ。
(4)消費税率の改正
消費税率10%が延期されたことは記憶に新しいが、あと2年後の2019年10月には待った
ナシで改正される予定だ。
現在でも消費税滞納額は6000億円を超し、その滞納法人割合は20%を超すと云われている中
で、消費税率が10%になればさらに滞納企業は増加し、中小企業減少に拍車をかける。
(5)インターネットの浸透と日常化
総務省「28年版情報通信白書」によれば、2015年のインターネット普及率は83%となった。この83%という普及率は、幼児を除けば、ほぼ100%という数字だ。
このことは、今後、ICT化・IoT化・G5への移行などにより、その浸透度や日常度がほぼ
100%となることを意味している。
(6)新規開業者の一極集中化と零細化
日本政策金融公庫の首都圏創業融資件数は昨年5,279件となり、前年比10%増えて、過去
最多を更新したという。
一方、開業件数はというと、相変わらず伸びず、オリンピック特需を見越した都心部への集中と
不動産・建設業の業種特化を招き、一般企業の開業は小規模化している。
その結果、会計事務所へ顧問依頼する新規開業者は少なくなっている。
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以上のような顧客市場の変化をどう読み、どう対応するのか?
横並びの事務所経営ではなく、主体的な戦略と戦術の立案と実践が事務所経営に求められている!
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