ブルーオーシャンインプル研『会計事務所経営マンスリーレポート』

 


他とは違う輝きを放つ会計事務所の価値とは

2020年12月2日 印刷用ページ

《IMPラボ マンスリーレポート 2020.12》

他の事務所とは違う「輝き」を放つ会計事務所価値とは

 

コロナ感染禍に加え、政府の中小企業政策方向転換もあり、これから関与先企業市場が増加するとは考えにくくなっています。

そこで前回は、「これまでの固定観念を払拭して、事務所の業務を見直さなくてはならないのでは?」と問題提起をしました。

今回はどのように見直して「より輝きを放つ会計事務所の価値に高めて行けば良いのか」について考えます。

 

1 現代の会計事務所業界は

現代の会計事務所はどこへ依頼しても大なり小なり同じだと言われています。

たとえば、

  業務は、記帳指導・税務相談・決算・申告と、どことも変わらない業務内容・・。

  報酬は、月額3万円・決算18万円と、これもどこともあまり変わらない報酬体系・・。

  事務所がアピールしていることといえば、巡回監査・適正申告・経営革新と、これもどことも変わらない標榜・・。

  *しかも「ひと昔の銭湯だ」とさえ、いわれています。その心は”湯だけ”、つまり言うだけということです。

  業務体制は、大人数事務所であっても、職員が個人事務所のように担当するだけと、これもどことも変わらない体制・・。

  関与先拡大も、報酬さえ合えば余ほどのことがない限り、来るものは拒まずという、これもどことも変わらない姿勢・・。

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      これではますます多様性に富む中小企業からは「とりあえず申告のために依頼しておこう」という

      業界全体が代書屋的な存在になってしまい、非常に付加価値の低い業界になってしまいます。

     rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr

 

一方、市場の動向は次のような状況です。

2 市場の動向

(1)中小企業は減少しています。特に会計事務所が対象としている市場は減少が激しくなります。

(2)未来ある若い小規模中小企業ほど、記帳・決算・申告は会計ソフトで自ら出来つつあります。

(3)中小企業を取り巻く経営環境はますます厳しく、そして複雑化しています。

(4)企業規模を問わず、経営をマネジメントするという必要性が高まっています。

(5)中小企業のIT化と活用は避けられません。

 

このように市場を捉えれば、必然的にこれから会計事務所として持つべき課題がハッキリしてきます。

3 これからの会計事務所経営の中期的視点

(1)記帳指導・税務・決算・申告という固定的な特徴から、事務所固有の特徴を持つ

  たとえば、いま盛んな相続・贈与、事業承継、M&Aに加えて、企業の黒字経営化支援などです。

(2)サービスに準じた報酬体系に変更していく

  ベーシックなサービスは安価に、価値のある経営支援や助言は適正報酬に、という方向です。

(3)事務所の個性をアピールする具体的な標榜を考える

  たとえば、黒字経営支援、資金繰り強化支援、販売戦略支援などです。

(4)事務所規模(人材)を活かした業務体制を再構築していく

  単に事務所規模を誇るだけではなく、事務所規模を顧客価値に変える体制構築です。

  たとえば、

  まだ経験が浅い人材が担当すべきクライアント、簿記がわかっている人材が担当すべきクライアント、

  経験もあって税務にも精通している人材が担当すべきクライアント、総合的な経験がある人材が担当すべきクライアントなど

  に分類し、適材適所化を図っていく。

(5)一律ではない、生産性が高い報酬体系に変えていく

  上記のような業務体制を通じて、各階層のクライアントにとって納得のいく報酬体系に変更する。

(6)IT活用への積極的な姿勢を持つ

  情報機器をただ言われるままに導入して満足している姿勢から、主体的に情報機器を活かす姿勢に変える。

  たとえば、

  自計化を会計データ入力で済ますのではなく、それぞれのクライアントに適した管理会計へのツールにしていく。

  訪問だけの巡回監査ではなく、ICTを活用して、いつでもどこでも巡回監査や助言や相談できる体制を作る。

  インターネット活用を事務所自らのために真剣に考え、実行し、その体験を以ってクライアントのインターネット支援をする。

(7)人材育成を重視する

 会計事務所業務は、やはり「属人的業務」です。したがって、人が資産であり、人が事務所の商品価値の根源です。

 そのためには、いままで以上に人材育成に時間と資金を投下する必要があります。

 たとえば、

  会計識字力を向上させる。B/S・P/Lの見方(経営分析)と判断の考え方、そしてその改善方策の理解。

  マーケティング知識を向上させる。これが経営者とのコミュニケーションを向上させ、アドバイスの引出しともなります。

  IT力を向上させる。これが業務効率を上げ、またクライアントのIT支援を可能とします。

  動機付け要因(仕事の内容)と衛生要因(職場環境)の改善。事務所の人材力を上げるにためには人材の定着が大前提です。

 

この他にもさまざまな課題があるのでしょうけれど、ただすぐには成果や改善はできません。

だからこそ、すぐに取り掛かり、時間をかける必要があります。 つまり『担雪埋井』です。

 

4 他とは違う「輝き」を放つ事務所価値を持つためには

(1)「4P」(商品・価格・流通・販促)と「4C」(顧客価値・費用・利便性・意思疎通)を改善することです。

(2)他の会計事務所との違いを見つける、つまり、バリュー・プロポジションを発見することです。

(3)他の会計事務所の価値との相違点をより明快にする、つまり、戦略キャンパスによる確認です。

(4)組織改革の実行

 

これらについては次回に詳しく説明します。お楽しみに!

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